現在日本テレビ系列で放送中のアニメ『風が強く吹いている』（通称“風強”、“風つよ”）について語るのでとりあえず聞いてください。
原作が2006年に刊行された三浦しをん先生の一般小説で、箱根駅伝を題材にした青春群像劇です。
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物語の面白さからこれまでラジオドラマ、コミカライズ、舞台化、映画化とさまざまなメディアミックスがなされてきましたがこの度満を持しての初アニメ化。
制作はProduction I.G。ハイキューとか作ってるところです。キャラクターデザインが千葉崇洋。ハイキューの総作画監督とかやられてる方です。音楽が林ゆうき。ハイキューの音楽とか担当されている方です。
つまりもう実質ハイキューです！！！！ハイキューのクオリティの高さを知ってる人なら信頼していいです！！美しい作画！！迫力のある動画！！素晴らしい音楽！！
監督もジョーカーゲームを手掛けた野村和也さんで、私はまだ拝見したことがないのですが評判の良さは伝え聞いていました。
脚本の喜安浩平さんは私くらいの世代からするとテニスの王子様の海堂の声優さんというイメージが強いのですが、映画『桐島、部活やめるってよ』で日本アカデミー賞の優秀脚本賞を受賞していたり舞台なども手がけられていたり、脚本家としての実績もお持ちの方なんですね。
加えてハイキューやヒロアカのプロデューサーをされているTOHO animationの岡村和佳菜Ｐも関わっているということで宣伝広報やイベント関連も心強い。
つまりもう制作発表の時点で勝利が確定していたようなものでした。
とにかくまずはプロモーション映像を見ていただきたい。クオリティの高さが伝わると思います。
お気付きの方もいらっしゃるとは思いますが第1クールのオープニング楽曲を担当されたのはUNISON SQUARE GARDENさんです。あのオリオンをなぞったりシュガーなソングでビターなステップを踏んだりするヒットメーカーのユニゾンさんです。
そしてメインキャラクター10人を演じる声優陣が大塚剛央、豊永利行、内山昂輝、入野自由、榎木淳弥、上村祐翔、興津和幸、株元英彰、北沢力、星野貴紀という人気と実力を兼ね備えた豪華な顔ぶれ。（ちなみに最近一番驚いたのは星野貴紀さんが現在ミッキーマウスの声を担当されているということでした！）
こんなのもう覇権じゃない方がおかしくない？なんで社会現象起きてないの？と思ったそこのあなた！！それな！！！！
メインキャラが全員男性なので「女性向けアニメか……」と敬遠した者がいたこと、陸上という一見派手さのない題材と落ち着いたキャラクタービジュアル故かイナゴオタが寄り付かなかったこと、堅実な内容のためネタで盛り上がってトレンド入りするタイプの作品ではなかったことなどが原因ではないかと考えています……。
海外の反応でも「良い作品なのに注目されていないのが残念」「陸上アニメというだけで人々は見ようとしないよ」「タイトルを『バニーガール先輩が風と共に走る』『超かわいい妹といっしょに長距離ランナーとして転生した件』にすべきだったね」というジョークが交わされているほど。
きっと制作がMAPPAさんだったらブロマンス色が濃厚で耽美な、女性中心に爆発的人気の作品になっていたことでしょう(？)。
でもいいんです。IGさんが硬派に愚直に作ってくださったからこそ、年齢性別問わず様々な人に勧められる名作アニメになったと思っています。
余談ですが私は風強の声優さんきっかけで昨年初めて『ユーリ!!! on ICE』を見ました。素晴らしいアニメーションとストーリーにドハマりしましたが、家族と一緒に見られるかと聞かれたら多分無理です。セクシーが過ぎる。
風強は注目度こそ他の覇権アニメに比べたら低いかもしれませんが、見続けている勢はもれなく「今期最高のアニメ」と口を揃えて言うほど出来の良い作品なので先入観だけで見ずにいるのはとてもとても勿体ないです。
実際『東京アニメアワードフェスティバル2019』の“アニメファン賞”では第4位という好成績を収めており、コアな人気のある作品だと胸を張って言えます。
普段アニメを見ない層にもぜひ見ていただきたく……そもそも私自身ここ10年の間にリアルタイムで追ったアニメシリーズが風強含め3作品だけなのですが、それほどがっつりアニオタじゃない人こそ惹かれる部分があると感じました。
駅伝を題材にしている作品ではありますが、一般小説が原作ということもあり、スポ根モノというよりは群像劇なんです。
登場人物たちの関係性やいざこざ、一人一人が走ることを決めるまでの葛藤だったり、走ることを通して自分や人生と向き合う等身大の大学生たちがとても丁寧に描写されています。
だから逆に、競技！勝負！友情！のようなわかりやすいスポーツアニメを求めている人には最初はじれったいかもしれません。なんせなかなか走り出さない。
しかしながらそうやって一人一人の背景を深く知っていくからこそ、いざ走り始めてからの思い入れがひときわ強くなるんです。
皆さんもお正月にお茶の間のテレビで流れている箱根駅伝をなんとなしに眺めているうちに、実況アナウンサーの語る選手のバックグラウンドなどを聞いてつい感情移入してしまった経験はありませんか。
あるいはドキュメンタリーを見て泣いてしまったり。私はよくあるんですけど。
風強という作品を追っているときの心境はほぼその体験に近いです。ドキュメンタリーをじっくり何話分もかけて見て、選手たちのことを親兄弟よりもよく知った上で本番を迎えることになります。応援の身の入り方が桁違いです。
声優さんのお芝居や演出も生っぽくリアルな分、見ているうちにだんだん現実に存在する選手たちを応援しているような不思議な感覚になっていきます。
ちなみにキャストさんたちは監督から「アニメではなくドラマを撮るつもりで演じて」という指示を受けているそうです。納得。
ユーリ!!! on ICEで豊永さんの生っぽい演技に魅了された人は絶対に風強も見てほしいです……豊永さんだけでなく全員が全員そこに居るようなリアルなお芝居をして下さっています……息遣いだったり発声だったり……映像もジブリに引けを取らないような細やかな演出がされています……
というわけでここまで読んでもし興味を持って下さった方はぜひ！！明後日22日にニコニコ動画で放送される風強特番＆12～22話の一挙放送をご覧ください！！
ながら見や作業用BGMとして流すだけでも構いません！！画面の美しさと音楽のエモさとお芝居の濃密さを少しでも感じていただければ十分です！！
12話からでもちゃんと面白いので心配ご無用です。逆に序盤でなかなか走らないことに焦れて視聴を切った人なんかもここから再度見てみるのもアリだと思います。めちゃめちゃ走ってます。
風強は見始めるとのめり込んでしまって毎話体感5分とか10分とか言われているので一挙放送も見始めてしまえば体感60分くらいで終わります。
それでも途中から見るのは抵抗があるという方は各配信サイトで無料配信されている第1話だけ予習しておけば問題ないです。登場人物と話の流れは把握できます。
ちなみに私は第1話開始1秒であまりの作画の美しさに感動してボロ泣きしました。そして1話だけで30回以上再生しました。
そしてハマってくださった方には円盤の購入もオススメしておきます。
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毎巻特典リーフレットに脚本の喜安さん書き下ろしショートストーリーが掲載されていたり、第1巻にはドラマCDまでついてくるのでとてもお得です。
一挙見た方は最終回を一緒に見届けましょうね。
Twitterのハッシュタグ #kazeanime に仲間がたくさんいます。毎週凄い盛り上がりです。
というわけで全世界の皆さん！！！！TVアニメ『風が強く吹いている』を見て下さい！！！！よろしくお願いします！！！！
※追記(3/21)
林ゆうき先生がTwitterで当記事を紹介して下さったおかげで普段届かないような沢山の方に読んでいただけて光栄です。ありがとうございます。
ただちらほらと、林先生が書いたブログだと勘違いされている方をお見掛けしたので「んなわけあるかー！！」と慌てて追記している次第です。
「林ゆうきさんって意外とオタクっぽい文章書くんですね♪」とか勘弁してクレメンス……そりゃオタクが書いてるんだからオタクっぽい文章にもなるよオタクが書いてるんだから……
林ゆうき先生の名誉のために記させて下さい。こちらは公式とは一切関係のない一視聴者のブログです。
