人生栗色

観たり読んだり考えた記録

不遇を嘆く地方人、お金のかかる都会人。

“地方のヲタクが不遇だと思うなら上京すればいい。仕事だって転職すればいい。その環境に身を置くことを選んでいるのは自分自身なのだから、地方住まいを理由に都内の優遇を妬んだり嘆いたりするのはお門違いだ。”

 

というような内容のツイートを、もう何年も前のジャニヲタ時代に見かけたことがある。

おそらく「都内ばかりでイベントがあって狡い」「日程が出るのが急すぎて地方民のことを考えていない」などの不平不満に一石を投じるツイートだったと思う。

家庭を持っている人などは自分だけの選択で住む場所をどうこうできるわけではないが、その時田舎で実家暮らしをしていた私は確かにぐうの音も出ないなと納得した。

その後上京を決める際に背中を押す言葉として自分の中に印象深く残った。

 

都内で突発的にイベントが行われたり、日程の発表がギリギリになるというのは、実際に地方民のことなど想定されていないからにほかならないと思う。

そういった条件下でも集まれる人を対象に催されているのであろうし、それだけでも十分に集客が見込めるからそのような対応になるのであろう。

これが集客も見込めず、地方から足を運んでくれるお客さんも喉から手が出るほどほしいと切羽詰まっているのであれば、きちんとそれなりの対応をしてくれるはずだ。

ファンは簡単に「地方にも来てください」と言うが、それだって利益が出るか出ないかの話だ。慈善事業ではないのだから赤字を出してまで地方に行くことはないだろう。

それを不遇だ、蔑ろにされていると感じるのであれば、自分自身が便利な場所へ越してみるほかにない。

 

そうして私自身上京し一人暮らしを始めてみて実感したのは、やはり家賃や水道光熱費などもろもろにお金がかかるということだ。

確かに突発的な都内の催しなどにスケジュールを合わせやすくはなったが、実家暮らしをしていた頃のように地方へ遠征する金銭的余裕はなくなった。実家からの交通費や宿泊費よりも、家賃などの方が高くついているのだろう。

また、憧れていた仕事帰りに観劇というのもなかなか難しかった。劇場の場所によっては定時退社でも間に合わないし、何より仕事終わりに観る舞台は集中力が欠けて普段より楽しめないと実感した。

舞台やコンサートの日程に合わせて休みを取り、ホテルを予約し、当日はその地域の美味しいものを食べたり観光も満喫できていた実家暮らしの頃の方が、目的以外の出来事も含めて濃密な思い出になっていた気がする。

勿論、思い立った舞台にふらりと足を運べたり、都内暮らしの方が何かとフットワーク軽く動けることには違いない。それでもお金は有限なのだから選べる舞台は限られてくる。

地方も都内も、どちらにも善し悪しがあって、自分がどちらを選ぶかにすぎないことがよくわかった。

 

私は家の事情でこれからまた田舎へ戻ることになるかもしれない。

そうなったときはきっと、都内で行われるイベントを羨んだり、日程発表の遅さにやきもきさせられるのであろう。

しかしもう「都会は狡い」と一方的に妬んだり「地方を馬鹿にしてる」と怒り狂うことはないはずだ。

都内暮らしを経験したことで少し視野を広く持てるようになり、今後のヲタク人生にプラスになった気がしている。